診断のポイント
微熱
冨家 崇雄
1
1賛育会病院・内科
pp.689-691
発行日 1965年5月10日
Published Date 1965/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200815
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微熱の特性
「微熱」はいわゆる原因不明の発熱という状態の領域に属するものであつて,実地医家にとつてまことにやつかいな問題の一つである。
「微熱」とはどういう状態であるかを考えてみる。体温値としては38℃くらいまでを微熱として取り扱うという立場もあるが,微熱問題の核心となる体温の範囲は実際的には36.9〜37.0℃から37.5〜37.6℃くらいの間のものである。すなわち,統計的な正常体温分布の範囲を含んでいる点,患者の受診状態,その原因の解析の困難,などの点からみていちばん問題となり,一種独特の様相を呈する範囲である。さらにその原因が不明であるままに相当長期間微熱が継続するという特性をもつている。原病を指示すべき決定的な訴えや症状は明らかでないが,患者は一種独特な不安感を示す。不定の愁訴をもつている場合が多いが,そのおもなものは全身あるいは四肢の倦怠感,易疲労性,頭重感や頭痛,なんとなく胸苦しい感じ,腹部不快感や食欲不振,肩こり,顔面や躯幹上半部のほてり感,四肢のほてり感や冷感などである。
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