Editorial
高齢者医療を担う職種間のコミュニケーションを円滑にするための評価の定量化
伊藤 澄信
1,2
1国立病院機構本部総合研究センター臨床研究総括部
2国立病院機構本部総合研究センター治験研究部
pp.873
発行日 2011年11月15日
Published Date 2011/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102329
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自分の家族の「高齢者介護」をはじめたが,その大変さは身に染みてよくわかった.高齢者は新しい事柄を覚えることができないのでリモコンの操作方法を教えてもすぐ忘れる.操作ができないと故障だと主張し,製造業者まで電話をかけてしまう.自分の思い込み,主張をかえない頑固さ.洋服ひとつとっても介護者の勧めに応じない.身内だと客観的に判断できないのでよけい難しい.
国立病院機構東京医療センターの総合内科は120名を超える入院患者のマネジメントをしているが,約半数は80歳以上の高齢者である.75歳以上の後期高齢者は年齢だけで全体像の把握は困難である.10月4日に100歳を迎えられた日野原重明先生をはじめ,年齢で,その人の機能を予測することは困難である.そのため,高齢者医療では多くの指標が使われている.その評価指標の略号と意味がわからないと医療者同士の会話にもついていけない.朝の入院カンファランスで「83歳の軽度の顔面麻痺,構音障害,左上肢運動失調を伴うNIHSS3点の男性が発症6時間で紹介来院し,MRTで右基底核から放線冠に11mmの梗塞巣があり,アスピリンを開始しました」というプレゼンテーションを聞くだけで,NIHSSを使っているのでtPA投与スクリーニングがされている施設だということまで理解できてしまう.
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