特集 看護学を知りたい!―医師のための看護学入門
【総論】
看護師と医師―古くて新しい関係
野口 美和子
1
1沖縄県立看護大学
キーワード:
看護の社会化
,
健康問題
,
生活・人生の支援
,
総合的な視点
Keyword:
看護の社会化
,
健康問題
,
生活・人生の支援
,
総合的な視点
pp.478-480
発行日 2010年7月15日
Published Date 2010/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101943
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看護の発生と発展
病人や老人,妊産婦,乳幼児の世話は人類の発生とともに行われ,血縁・地縁社会のなかに方法として保有されていた.それは家族との共同生活の一部としてごく当たり前の営みであり,人びとの絆でもあった.
文明の進歩により人びとの移動距離が大きくなり,家族から離れて生活する人が増え,またさまざまな疾病ももち運ぶようになった結果,家族からの世話を受けられない人びとが出現した.たとえば,中世ヨーロッパでは十字軍で遠征する兵士,田舎から都市に出てきて行き倒れた人びと,らい病などの伝染病によって地域から隔離された人,中世インドの原始仏教修行集団である比丘などである.そのような人に対し,家族に代わって世話をする人が求められた.その行為は,特殊な技術ではなく一般の人びとが実施できる一般的な技術である.それが社会的に求められ,一定の人びとによって担われることで技術も高まり専門職となっていった.これが看護の社会化である.
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