特集 小児診療ガイドラインのダイジェスト解説&プログレス
呼吸器
7.咳嗽
吉原 重美
1
1獨協医科大学医学部小児科学
キーワード:
咳嗽
,
慢性咳嗽
,
小児の咳嗽診療ガイドライン
Keyword:
咳嗽
,
慢性咳嗽
,
小児の咳嗽診療ガイドライン
pp.508-513
発行日 2020年4月20日
Published Date 2020/4/20
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000001279
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咳嗽は,基本的に気道内に貯留した分泌物や吸い込まれた異物を気道外に排除するための生態防御反応である1)2).咳嗽の発生には迷走神経を求心路とする不随意的な咳嗽反射と大脳が関与する随意的な咳嗽反応,すなわち咳衝動(urge-to-cough)などが複雑に関与している.咳嗽の発現には,生理学的に以下の3つの機序が知られている.① 反射的咳嗽:食物や異物が気道に誤嚥された際に脳幹の反射として惹起される咳嗽で,誤嚥に対する生体防御反応の咳嗽で無意識(全身麻酔)下でも発生する.② 随意的咳嗽:気道など末梢からの刺激がなくても随意的に発現する咳嗽で,心因性咳嗽はこの機序による.無意識(全身麻酔)下には消失する.③ 気道への何らかの刺激により気道(喉)のイガイガ感(irritation)に続いてurge-to-coughが生じ,その結果発生する咳嗽で,病的咳嗽の多くはこの機序によると想定される2).
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