JIM Report
2007年12月から2008年1月に経験した成人の流行性胃腸炎の臨床像
渡辺 幸治
1
,
柴山 直樹
1
,
灰本 元
2
1灰本クリニック放射線科
2灰本クリニック内科
pp.1052-1055
発行日 2008年12月15日
Published Date 2008/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101587
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2007年12月初旬から例年のごとく流行性胃腸炎が流行したが,遷延例が多く,輸液が必要な患者が多くみられた.遷延例に行った消化管エコーでは典型的なキーボードサイン(J1)がみられ,腹部X線検査では多くの症例にニボー像がみられた.また,聴診上腸雑音も減弱していたので麻痺性腸閉塞と診断できた.
2007年12月1日~2008年1月31日における当院の流行性胃腸炎患者数の推移を図1に示す.この二相性の流行はすでに報告があるノロウイルスの分布ときわめて類似しており1~4),症状,徴候も類似していることから2,5~8),その原因はノロウイルスが中心と考えられた.
成人のノロウイルス胃腸炎の臨床像を主眼に置いた文献では,簡単な有症状率が記載されているのみで5,6),詳しい臨床像や麻痺性腸閉塞の合併について報告はほとんどなかった.そこでわれわれが経験した典型的な症例を2例提示し,麻痺性腸閉塞を合併しやすい遷延例の臨床像を報告する.
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