レビューでわかる! いまどき診療エビデンス[28]
認知症患者が自動車の運転をやめるタイミング―どの時点で医師は運転中断を勧告すべきか
上村 直人
1
,
谷勝 良子
1
,
井関 美咲
1
,
諸隈 陽子
2
1高知大学医学部神経精神病態医学教室
2一陽病院
pp.614-618
発行日 2008年7月15日
Published Date 2008/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101471
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Q1 高齢者ドライバーの免許が法律で制限されましたが,どのようなものですか?
高齢者の自動車運転の問題が医学的に注目されはじめたのは,近年わが国の交通事故死者数が漸減しているにもかかわらず,高齢者の占める割合が増加していること1)に加え,平成14年6月1日から,道路交通法が改正され,認知症を代表とするある一定の基準を満たす疾患が免許の相対的制限を受けるようになったためである(表1)2).
この法律施行を機に,臨床医は何らかの形で病気を持つ患者の自動車運転の是非について関わることになった.本法律施行で臨床医が周知すべきなのは,認知症はもちろんのこと,一過性の意識障害や失神をきたし,運転能力に問題のある一定の疾患として,睡眠時無呼吸症候群や糖尿病,ペースメーカ挿入術後の心疾患を持つ人も制限を受け,臨床医も患者の運転能力を評価しなくてはならなくなったことである(表2).具体的には日本では図1に示すように運転免許のチェックシステムが構築されており,各都道府県公安委員会からの要請を受け,主治医は患者の運転能力に関する診断書を作成,もしくはさらに専門分野ごとの臨時適性検査(J1)に関わることとなっている.
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