Japanese
English
特集 改正道路交通法と医療の視点
認知症と自動車運転
Dementia and Driving-Medical and Ethical Aspects of Driver with Dementia
上村 直人
1
,
池田 学
2
Naoto KAMIMURA
1
,
Manabu IKEDA
2
1高知大学医学部精神科
2大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室
1Department of Neuropsychiatry, Kochi Medical School, Kochi, Japan
2Department of Psychiatry, Osaka University Grduate School of Medicine
キーワード:
Dementia
,
Driving
,
Driver's license
,
Traffic law
,
Ethical problems
Keyword:
Dementia
,
Driving
,
Driver's license
,
Traffic law
,
Ethical problems
pp.325-332
発行日 2017年4月15日
Published Date 2017/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205363
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はじめに
2017年3月12日,道路交通法があらたに改正され4),75歳以上の免許更新者で講習予備検査の結果,認知症のおそれがある第一分類と判定された場合,医療機関での受診が義務付けられることとなった。それまでは講習予備検査の結果で第一分類と判定されても,基準行為と呼ばれる一定の交通違反がなければ免許更新できていたものが,違反の有無に関係なく,医師の判断が義務化され,その結果認知症と判断されれば免許の自主返納か運転免許が取消しされることとなった。
これまで認知症が疑われ,一定の違反があるための医師の診断書作成は年間4,027件/年であったものが,第一分類者が3〜5万人存在すること3)を考慮すると,新たな制度では医療機関を受診する免許更新者が100倍にも増大し,医療機関側の対応にも混乱が予測される。
そこで本稿では,今回新たに施行される改正道路交通法について認知症の視点から概説し,これまでの認知症と自動車運転に関する医療の問題と今後の課題について述べることとする。
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