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Time is Brain!
2005年10月11日,米国に遅れること約10年,ようやく本邦でもrt-PA(アルテプラーゼ)静注による血栓溶解療法が認可され,虚血性脳卒中もbrain attackといわれるように,これまで以上に救急疾患として対応する必要性が高まってきた.英国では,一般市民,救急隊,医療従事者が脳卒中の初期症状を共通に認識できる言葉として,“Suspect a stroke?Act FAST. Call 999.”というスローガンを掲げている.FASTのFはfacial weakness,Aはarm weakness,Sはspeech problems,Tはtest all threeという意味である.シンシナティ病院前脳卒中スケールも同様に,顔面の麻痺,上肢の麻痺,言語障害の3項目を評価するもので,これらのうち新たに1つでも認めれば虚血性脳卒中の可能性は72%,すべて認めれば急性期脳卒中の可能性は85%以上とされ,脳卒中のスクリーニングに有用である(表1).
本邦でもrt-PA静注による血栓溶解療法の認可に伴い,ISLSコースという脳卒中の初期診療のシミュレーション学習コースが開発されるようになっている.ISLSコースは脳卒中治療の標準化を目的としたもので,アメリカ心臓協会(AHA)の提唱する脳卒中救命の連鎖「7D’s」,すなわち症状の認識(detection),救急隊出動(dispatch),患者搬送(delivery),病院に到着し救急外来へ(door),救急外来での診療・情報の収集(data),治療方針の決定(decision),薬剤投与(drug)を迅速に行うことを目標としている.
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