総合外来
増悪する下肢の浮腫と胸水を来たした一例
杉本 俊郎
1
,
森田 善方
1
,
一色 啓二
1
,
柏木 厚典
1
,
坪内 直也
2
,
山本 孝
3
,
白石 昭一郎
4
,
浅井 徹
4
1滋賀医科大学内科学講座(腎臓・代謝内科)
2滋賀医科大学
3滋賀医科大学内科循環器内科
4滋賀医科大学心臓血管外科
pp.512-516
発行日 2007年6月15日
Published Date 2007/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101148
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◆浮腫は日常よく遭遇する症状である.全身性の浮腫の原因として,心臓・肝臓・腎臓由来のものが代表的であるが,時には,その鑑別に苦慮することも少なくない.今回,臨床上,心臓・肝臓・腎臓すべての異常を有する症例を経験し,その臨床経過が浮腫の鑑別診断に参考になると考えられたので報告する.
症例呈示
*注意すべき点を下線で示す
症例:68歳の男性.
主訴:増悪する両下肢の浮腫・胸水.
現病歴:2003年ごろより,軽度の両下肢の浮腫が認められていた.2004年春ごろより,下肢の浮腫の増悪を認め,フロセミド40mgにて改善していた.同年6月ごろには尿失禁を認めたため,当院泌尿器科に入院.前立腺肥大症・神経因性膀胱による尿閉,左側水腎症と診断され,自己導尿により,症状・水腎症の改善は認められたが,血清Cre 2mg/dl台の腎機能障害を指摘された.その後,下肢の浮腫が増強し,胸水も出現したため,循環器内科・呼吸器内科受診するも改善は認められなかった.さらに下肢の浮腫の増強を認めたため,当院腎臓・代謝内科紹介となり,精査・加療目的にて2004年10月に入院となった.
家族歴:特記すべきものなし.
既往歴:49歳 高血圧・小脳梗塞,66歳 不整脈・心不全,67歳 頸椎症性頸髄症で手術.
入院時現症:身長170cm,体重75kg,血圧120/64 mmHg,脈拍88/分,整,意識;やや問いかけに対する反応が鈍く,はばたき振戦を認める(Japan coma scale, I-1).
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