Editorial
HIV感染症を学ぶ
藤沼 康樹
1
1東京ほくと医療生協北都東京家庭医療学センター(生協浮間診療所)
pp.729
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101011
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- 文献概要
今月号はHIV感染症の特集である.プライマリ・ケアをターゲットとする『JIM』でHIVを取り上げたのは,以下の理由による.
● 日本において,HIV感染症は確実に増加傾向にあること.
● 一般の医療現場で鑑別診断としてHIV感染症を考慮する必要性が年々増していること.
● 予防教育が重要であること.
● 早期発見・早期治療によって明らかに予後を改善できるようになってきたこと.
● それらの結果として,HIV感染患者のケアにプライマリ・ケア医の積極的関与が求められつつあること.
私が20年ほど前に医学部を卒業する頃に,米国でAIDSが注目されはじめた.欧米では,多くのアーティストやミュージシャンがAIDSに倒れ,ロックボーカリストのフレディ・マーキュリー,写真家のロバート・メイプルソープ,画家のキース・ヘリングなどがすぐ思い出される.AIDSを文化的・美学的に考察することが流行になり,かつての梅毒や結核のように,さまざまな意味が付加されて語られるようになった.また,日本においては血液製剤による感染というスキャンダラスな事件により注目され,「薬害エイズ事件」として,現在問題になっている医療の安全性を巡る議論の端緒になったのである.
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