レビューでわかる! いまどき診療エビデンス[16]
認知症の予防と進行防止
伊東 大介
1
,
鈴木 則宏
1
1慶應義塾大学神経内科
pp.162-166
発行日 2007年2月15日
Published Date 2007/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100826
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Q1 認知症の発症頻度,分類を教えてください.
現在,わが国では65歳以上の約1割が認知症と報告されており,日本の人口構成の高齢化に伴い認知症患者の増加とその医療は,21世紀の重要な課題と考えられている.
認知症をひき起こす疾患は多様で,アルツハイマー病(Alzheimer disease : AD),レビー小体型痴呆(diffuse lewy body disease : DLB)や前頭側頭葉痴呆(frontotemporal dementia : FTD)などの神経変性疾患や血管性痴呆(vascular dementia : VD)が代表的である.Akatsuらによる神経病理学的検討1)では各疾患の頻度は,AD 52%(純粋AD 46%+混合型6%),VD 22%,DLB 18%で,その他にFTD,皮質黒質変性症(corticobasal degeneration : CBD),正常圧水頭症などが含まれる.久山町認知症研究や欧米の検討でも同様に,半数以上がADを占めている.認知症の予防と進行防止を考えるうえでADの重要性は高く,本稿でも主にADを中心に解説する.また,近年,ADの発症予防あるいは早期治療のターゲットとして,認知症の前段階である軽度認知障害(mild cognitive impairment : MCI)という概念2)が提唱され注目されており,本稿でも一部言及する(J1).
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