今日からできる思春期外来4
母親の常識的な対応が子どもを追い込みかけた例―子どものこころを傷つける「きっかけ」と「原因」の理解
栗山 智之
1
1中標津こどもクリニック
pp.354-356
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100796
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Case
クラス担任の不誠実,非常識,不謹慎がどうしても許せない,小学校4年生の女の子.母親,兄(小学5年生),妹(4歳),シーズー犬1頭と暮らしている.父親は単身赴任中.
家で母親に「大人のくせにあんなことをした」などとグチっていたが,ある日ついに「あんなバカは辞めさせて!」と口走る.これを聞いた母親が,「そんな言い方をするものじゃないよ」と諭したところ,その後,家では担任の話題は出なくなった.しかし,登校が近づく,朝や日曜の夜にちょっとしたことでイライラして机を叩くなどの行為,頭痛,腹痛などのストレス症状が現れはじめ,登校意欲も失ってゆき「不登校」の一歩手前となった.
この時点で母親から相談を受け,「相手が誰であれ,間違ったことに対しては,怒るべき時にはともに怒るべきではないか」とアドバイスすると,母親は担任に「私はあなたを許さない!」と見事なタンカ.風前の灯火であった親子関係は修復され,担任の態度は変わらないものの,子どもは胸を張って元気に学校に通うようになり,むしろ以前より生活態度が改善され,学習意欲も向上した.
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