特集 高齢者と薬
便通異常に使用する薬剤
鈴木 紘一
1
,
古宮 憲一
2
1国立病院東京医療センター
2国立病院東京医療センター消化器科
キーワード:
高齢者便通異常
,
便秘の病態と治療
,
高齢者の下痢
Keyword:
高齢者便通異常
,
便秘の病態と治療
,
高齢者の下痢
pp.938-942
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100732
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Case
大腸刺激性下剤の長期大量内服による痙攣性便秘の1例
患者:65歳,女性.既往歴:従来より習慣性便秘にてセンナ系下剤を内服継続.
現病歴:1カ月前より精神的ストレスが増大し,便秘増悪.下剤内服量を増加するも腹部膨満感,腹痛増強し,入院となった.刺激性下剤過剰投与による痙攣性便秘と診断のうえ,刺激性下剤をうち切り,抗コリン薬,塩類下剤,腸管運動調整薬を適宜調節し軽快退院となった.
高齢者にみられた胃腸機能低下による慢性下痢症
患者:80歳,女性.既往歴:とくになし.
現病歴:受診約10カ月前より,3~4行/日の水様性下痢にて某大学病院に通院.上部・下部内視鏡検査ではとくに異常がみられず,乳酸菌製剤,H2ブロッカーの内服継続.この間,頻回の下痢,とくに食後に便意を催すため外出も制限され,体重も5 kg減少した.器質的疾患はなく,腹痛などはみられず食後に便意を催し,下痢は水様性という症状より,胃を含めた消化管全体の機能失調を考慮し,HCl水,消化酵素剤,乳酸菌製剤および腸管機能調整を目的とした大建中湯の内服治療を開始.1週間後の再来時には症状は消失していた.以降,現在に至る1年間健康に過ごしている.
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