特集 Special Article:
アルコール依存症治療における断酒と飲酒量低減 3.仮想症例から断酒と減酒の使い分けを考える
宮田 久嗣
1
1東京慈恵会医科大学精神医学講座教授
キーワード:
アルコール依存症
,
断酒
,
減酒
,
ガイドライン
,
仮想症例
Keyword:
アルコール依存症
,
断酒
,
減酒
,
ガイドライン
,
仮想症例
pp.19-23
発行日 2022年3月30日
Published Date 2022/3/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0078.10.01_0019-0023
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従来のアルコール依存症治療では,主に重症のアルコール依存症患者を対象としてきたことから,どうしても断酒を唯一の治療選択肢とせざるを得なかった。しかし最近は予防医学的観点から,より軽症,より早期のアルコール依存症患者に介入し,重症化を防ぐ重要性が再認識されるようになった。加えて,近年アルコール依存症のなかには,さまざまな外傷体験(児童虐待など)や発達障害,うつ病などの精神科的問題を抱えた人々がおり,生きづらさを解消する手段としてアルコールを用いているという患者理解が進んできた。このため,断酒一辺倒ではない多様な治療選択肢が求められている。しかし,飲酒欲求のコントロールが困難な依存症患者に対して,断酒と減酒を上手に使い分けることは容易ではない。そこで本稿では,2018年に改訂された『新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドライン』を基にして,仮想症例を用いて断酒と減酒の使い分けを考えることとする。「KEY WORDS」アルコール依存症,断酒,減酒,ガイドライン,仮想症例
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