地域・家庭医療学実践記(第16回)
地域での信頼作り
涌波 満
1
1ファミリークリニックきたなかぐすく
pp.372
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100596
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私の場合,地域医療の実践とは,単に地域で診療所を開設しているという意味ではありません.診療所の利用者だけを対象にするのではなく,地域住民を視野に入れ,しかも彼らが積極的パートナーとなり,保健・医療・福祉活動を行う,地域志向のケア(Community-Oriented Primary Care,以下COPC)を意味しています.COPCはプライマリ・ケアの実践をめざす者の理想的な形であり,地域住民,医療者,そして行政の強い信頼関係の上に成り立っていくものです.このCOPCについては後で取り上げることにして,今回はその基礎固めとしての活動をご紹介します.
本誌に連載中の“かかりつけ医のための家庭医療学”の第1回で紹介されていたような地域立脚型のケア(Community-based Primary Care)としては,学校医・産業医としての活動,有効な社会資源の活用などがあげられます.
好き嫌いにかかわらず,私も他の開業医の先生方と同じように,村や医師会からの依頼を受け,気が付いてみると,診療所以外での活動をかなりしています.たとえば,私立幼児園・小学校の健康相談役,村立小学校の学校医,現行制度では嘱託医を置かなくてもよい小規模事業所の産業医的役割,村民検診活動,在宅介護支援センターの委託業務,老人保健・福祉事業の策定や運営に関する委員としての活動,要介護認定審査業務です.
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