特集 外科系疾患に遭遇した時
外科系診療レベルアップ
②先天性頸部疾患 正中頸囊胞,側頸囊胞
武井 泰彦
1
1さいたま市立病院耳鼻咽喉科
キーワード:
甲状舌管
,
舌盲孔
,
甲状舌骨膜
,
鰓溝
,
経皮的エタノール注入療法(PEIT)
Keyword:
甲状舌管
,
舌盲孔
,
甲状舌骨膜
,
鰓溝
,
経皮的エタノール注入療法(PEIT)
pp.462-464
発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100493
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正中頸囊胞(甲状舌管囊胞:図1)
■成因
胎生4週末頃に,甲状腺原基が舌盲孔から下降する際にできる管腔を甲状舌管(J1)と呼ぶ.甲状舌管は通常,胎生5週には索状物となり消失するが,甲状舌管の上皮が遺残すると,内部に水様あるいは粘性の液が貯留する囊胞を形成する.これが正中頸囊胞であり,甲状舌管囊胞とも呼ばれる.瘻管が前頸部皮膚に開口している場合は正中頸瘻と呼ぶが,非常に稀である.
囊胞は,甲状舌管の上端すなわち舌根部の舌盲孔から,下端すなわち甲状腺峡部までのいずれかの部位で,正中部に存在する.なかでも甲状舌骨膜上に存在することが最も多い.
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