明日からできる「物忘れ外来」 【第9回】
アルツハイマー病治療・介護のコツ⑨―事例から考える介護の問題点
川畑 信也
1
1成田記念病院神経内科
pp.1014-1018
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100482
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診断後に浮かび上がる認知症介護の問題点
「認知症診療において大切なことは診断後から始まる!」が筆者の基本的なスタンスです.患者さんが罹患している認知症疾患の病型を診断することは大切ですが,それよりも大切で必要なことは,診断後から始まる上手な介護,適切な対応です.現在,認知症診療・介護でどのようなことが問題点となるのか,どのような課題があるのかを示していきます.
Case1
アルツハイマー病の76歳の女性
小学校の教員を長く勤めた後,60歳で定年退職した.結婚せず一人暮らしである.74歳頃から,盆などで親戚に会ってもどの人が誰であるかわからない状態であることに気づかれた.また,お年玉を同じ人に何回も渡そうとする,約束したことを忘れてしまうなどの物忘れ症状が目立ってきた.他県に住んでいる姪御さんが患者さん宅を訪れると,冷蔵庫に大量に腐った食物が貯蔵されていることが多い.また,不要な物を買ってしまうことがしばしばある.姪御さんが認知症を心配し,物忘れ外来に連れてきた.
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