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解剖・病態生理の疑問
抗核抗体っていったい何?
赤星 透
1
,
竹本 毅
1
1北里大学医学部総合診療医学
キーワード:
抗核抗体
,
間接蛍光抗体法
,
FANA
,
自己免疫疾患
Keyword:
抗核抗体
,
間接蛍光抗体法
,
FANA
,
自己免疫疾患
pp.911-913
発行日 2006年11月1日
Published Date 2006/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100455
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抗核抗体とは何か?
抗核抗体(ANA : anti-nuclear antibody)は細胞核成分に対する自己抗体の総称である.細胞の核はDNAやRNAなどの核酸と酵素などの蛋白で構成されているため,ANAには多彩な核構成成分に対するさまざまな自己抗体が含まれる.抗核抗体の測定には,間接蛍光抗体法(indirect fluorescent antibody technique)による抗核抗体(FANA : fluorescent anti-nuclear antibody)の測定と,DNAなどの特異抗原に対する疾患特異的自己抗体を測定する酵素免疫測定法(enzyme-linked immunosorbent assay : EIA)とがある.
抗核抗体の検査では,まずスクリーニングとしてFANAの有無を調べる.FANA検査では,ヒト喉頭癌由来の上皮細胞株(HEp-2)に患者血清と蛍光標識マウス抗ヒトIgG抗体を反応させ,蛍光顕微鏡を用いて抗核抗体の有無を形態的に判定する.FANAは混合性結合組織病(MCTD)や全身性エリテマトーデス(SLE),全身性硬化症(SSc),シェーグレン症候群などの膠原病では高率に陽性となるが,臓器特異的自己免疫疾患でも陽性となる(表1).さらに,健常人(とくに高齢者)でも陽性となることがあるので注意しなければならない.現状では40倍以下は陰性,160倍以上では膠原病を含めた自己免疫疾患の検査を行い,40~80倍では症状の有無を勘案して評価するのが妥当である.FANA検査では,染色型により対応抗原を推測することが可能である(表2).
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