特集 しびれにご用心
整形外科的しびれの診察と検査
町田 正文
1
Jun Kimura
2
1国立病院機構村山医療センター臨床研究センター/整形外科
2Department of Neurology,University of Iowa Hospital Care
2Department of Neurology,University of Iowa Hospital Care
キーワード:
しびれ
,
小径有髄線維
,
絞扼性神経障害
,
神経根障害
,
電気生理学的検査
Keyword:
しびれ
,
小径有髄線維
,
絞扼性神経障害
,
神経根障害
,
電気生理学的検査
pp.712-717
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100409
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Question & Answer
Q:しびれを客観的にとらえるには?
A:問診で患者の訴えるしびれが何を意味するかを明らかにし,他の感覚障害との関連性に基づいて適切な検査を行い,診断する.
整形外科の外来を受診する患者で,しびれを愁訴に受診する症例は少なくない.しかし,個々の症例でしびれの意味するものが異なるため,問診では患者の訴えるしびれが何を意味するのかを明らかにする必要がある.したがって,診療録に単にしびれと記載するのではなく,具体的に記載することが望ましい.たとえば,正座をしていたための足のしびれ,肘を強く打った時の手のしびれ,あるいは歩いていて徐々にしびれが強くなり,歩けなくなり休むことがある,などである.また,時にしびれているような感じと訴える患者もあり,しびれなのかしびれ感なのかも鑑別する必要がある.しびれは,解釈に個人差を生じる可能性があり,医学用語として適切ではない.しかし,しびれのみの愁訴の診断は困難であるが,多くは他の感覚障害や運動麻痺を伴っていることが多く,総合的に診察を行えば,診断は可能である.
感覚と感覚障害の分類
しびれと表現される感覚障害は,触覚を含む皮膚感覚(表在感覚)の異常と考えられる.表在感覚は刺激の性質によって触覚と温覚・痛覚とに大別され,また感覚受容の様態からは原始感覚と識別感覚とに分けられる.原始感覚は皮膚に与えられた痛み刺激または熱・冷刺激に対する感覚のうち,高閾値・長潜時・低局在性で持続時間の長い感覚であり,AδまたはC線維を介する.一方,識別感覚は低閾値・短潜時で局在性が高く,持続時間が短い感覚であり,大径有髄線維Aβを介する.
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