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Case
患 者:22歳,女性,主婦.
既往歴:特記なし.
生活歴:飲酒および喫煙歴なし.
家族歴:特記なし.
現病歴:生来健康であった.初回妊娠にて近医産婦人科で定期通院しており,妊娠悪阻も軽く,順調であった.しかし,妊娠第28週より日中の全身倦怠感と悪心を認めるようになった.通院先では,高血圧はないが,下腿浮腫(1+),尿蛋白(1+)が認められたため妊娠中毒症へ進展しないか,注意深くフォローされていた.その後の経過で全身倦怠感と悪心が悪化したため,妊娠39週に帝王切開が行われた.手術は出血も少なく,とくに大きな合併症もなく終了したが,帝王切開後3日目より38℃台後半の発熱が出現し,倦怠感や悪心も持続していた.術後の子宮内膜炎が疑われ抗菌薬を投与されたが,発熱が持続するため,出産後第8病日に当院産婦人科へ紹介入院となった.転院後の経過で発熱は徐々に落ち着いてきたが微熱は持続しており,入院時検査所見では血液検査で血清Na120mEq/lと低下を認めた.第10病日に内科的疾患の合併の有無などについて,当科にコンサルトとなった.
身体所見:血圧100/60mmHg,脈拍76/分,呼吸数20/分,体温37.5℃.
全身状態:倦怠感著明でベッド上で臥床.結膜に黄染や貧血を認めず,咽頭所見異常なし,頸部リンパ節腫脹や甲状腺腫大を認めず,心音は整・雑音なし,呼吸音は清・左右左なし,腹部では帝王切開の手術痕の感染兆候なし・圧痛なし,腟よりわずかな帯下を認めるが悪臭なし,出血や膿状ではない.下肢に軽度の浮腫を認める.
検査所見:血算;WBC 6,100/μl,Hb 12.4g/dl,Hct 38.2%,Plt 52.6×104/μl.生化学検査:Na 120mEq/l,K 4.7mEq/l,Cl 86mEq/l,Glc 98mg/dl,BUN 6mg/dl,Cre 0.5mg/dl,T-bil 0.4mg/dl,AST 37 IU/l,ALT 11 IU/l,s-Osm 253mOsm/l.一般尿検査;比重1.020,pH 5.5,Glc(-),Pro(±),occult blood(-).尿生化学検査;u-Osm 649mOsm,u-Na 197mEq/l.
心電図:正常範囲内.
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