特集 プライマリ・ケアにおける精神疾患 generalistと精神科医のコラボレーション
【プライマリ・ケアでの精神疾患診療のポイント】
①うつ病の診療
大野 裕
1
1慶應義塾大学保健管理センター
キーワード:
うつ病
,
SSRI
,
SNRI
,
認知療法
,
プライマリ・ケア
Keyword:
うつ病
,
SSRI
,
SNRI
,
認知療法
,
プライマリ・ケア
pp.462-465
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100357
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Question & Answer
Q:どのような時にうつ病を疑えばよいのでしょうか?
A:患者さんが不眠を訴えている時には要注意です.これまで楽しみにしていたことを楽しめなくなった場合もうつ病の可能性があります.
うつ病はきわめて一般的な疾患である.厚生労働省の研究班による精神疾患の有病率に関する大規模疫学調査によれば,調査時点までに特定の疾患にかかったことがある割合(ICD-10分類による生涯有病率)はうつ病エピソード7.5%で,うつ病に加えて双極性障害や気分変調症を含む気分障害は9.0%となっている1).このように,一般住民がうつ病にかかる割合は非常に高いが,そのなかで医療機関を受診したことのある人は非常に少ないことから,うつ病の診療においては地域や職域での啓発活動が重要であり,しかもこうした活動は患者が安心してかかることができるプライマリ・ケア医を抜きにして語ることはできないと考えられる.
一方,プライマリ・ケア医を受診する患者のなかでうつ症状を呈する人は多く,また,うつ症状が身体疾患の経過にも影響を与えることが知られており,このことからも,プライマリ・ケアの診療場面でうつ病を早期に発見し初期治療を行うことが重要であると考えられている.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.