臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
I.救急車で運ばれてくる重症患者の処置
失神
長澤 紘一
1
1日本医大第1内科
pp.1727-1729
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208130
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はじめに
失神syncopeとは,脳代謝の急激な低下によって起こる一過性の意識消失発作である.通常は血圧下降による脳血流量減少が原因であるが,Noble1)は失神の生ずる機序を表1のごとくに分類した.
医師がこのような患者に接する場合,すでに失神から回復しているものが大部分を占め,意識消失の続いている患者をみる機会は少ない.したがって失神患者の救急治療といっても,治療を要する原因の有無を決定することが第1であって,治療を要さない場合も多い.診断を確定するためには病歴の詳細な聴取,理学的所見の把握,臨床検査が重要であって,医師が失神の病態生理に精通していれば,病歴,理学的所見,心電図所見のみから症例の99%が診断可能であると報告されている1).
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