読書療法 患者にすすめるこの1冊・19
『悲しみから思い出に 大切な人を亡くした心の痛みを乗り越えるために』
二ノ坂 保喜
1
1医療法人にのさかクリニック
pp.340
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100280
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私の息子が小学生の時,飼い犬が死んだ.息子は,一晩中涙を流しながら,死んだ犬のそばで休んだ.しばらく我が家では犬を飼わなかった.亡くした時の悲しみが辛かったからだ.しかしその後,再びその息子の希望で新しく犬を飼うことになった.別れの悲しみをいつのまにか乗り越えたのだろう.
大切なペットに限らず,大切な人,親しい人を亡くした時の悲しみは,死別の悲しみ,喪失の悲しみとして誰もが感じる強い感情だ.そのためにうつ状態になったり,引きこもったりすることもある.しかし多くの人はその悲しみを乗り越え,自分自身の人生を再び力強く生きていく.別れの悲しみは,美しい思い出に変わって,心の中に生きていくのだろう.
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