特集 行動変容を促そう
行動変容のすすめ方
②肥満
矢部 正浩
1
,
松下 明
2
1新潟市民病院総合診療科
2奈義ファミリークリニック
キーワード:
LEARNのアプローチ
,
行動変容ステージモデル
,
重要度自信度モデル
,
感情面への配慮
,
共感
Keyword:
LEARNのアプローチ
,
行動変容ステージモデル
,
重要度自信度モデル
,
感情面への配慮
,
共感
pp.278-283
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100268
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
症例の理解と理論的な介入方法
■LEARNのアプローチ
これはBerlinとFowkesが提唱した医療民族学的方法論であり,異なった文化背景を持つ医師と患者の間で行う共同作業,つまり患者教育に適したモデルである.「LEARN」の頭文字を取った5つのステップを踏まえることにより,いわゆる押しつけを避け,より効果的に患者教育を行うことが可能となる.
●Listen(傾聴):まずは相手を知ろう
これまでは,医療関係者が「医学的枠組み」(J1)のなかで考えて,医療関係者が患者に必要と思われる知識を一方的に提供する知識伝達型の指導が行われていた.この場合,患者がどう考えどのようなニーズを持っているかなどにはほとんど目が向けられなかった.Case×中の①がそれに当たる.しかし,患者が自ら学習しようという意欲を持つようにするためには,まず患者自身の病気に対する考え方や希望(解釈モデル〈J2〉あるいは患者の枠組み〈J1〉と呼ぶ)を明らかにする必要がある.そのためには,患者に教え込むという考えを捨てて,まずは黙ってじっと患者の言葉に耳を傾け,ニーズを読みとらなくてはならない.Case○中の①や⑫のように患者に聞き返してみることで,患者は自分のことを話してくることが多い.このLEARNのアプローチのなかでとくに要となるのがこのListen(傾聴)である.まずは1分間,医療者から話すことを意識してやめて患者の話を聞いてみよう.2つのCaseを比べてみるとわかるが,うまくいかないCaseでは医師が話の主導権を握っており,うまくいくCaseでは患者が話の主導権を握っている.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.