特集 胸痛患者をみたら
ミニレクチャー
薬剤(麻薬・覚醒剤)を原因とする胸痛
田中 まゆみ
1
1聖路加国際病院一般内科
pp.224-225
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100255
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日本で胸痛の鑑別診断にコカインを挙げたら酔狂者扱いではないだろうか.しかしながら,欧米先進国のほとんどの主要都市が麻薬で汚染されている現在,日本でも麻薬・覚醒剤の使用は水面下で拡大している可能性があり,少しでも疑いがあれば薬物スクリーニング(尿検査)を実施すべきである.麻薬汚染の進んだ米国での経験を踏まえて,要点をまとめてみた.
●胸痛をきたす違法薬物
主なものだけ挙げると,コカイン[通称クラック]・MDMA[3,4-methylene-dioxymethamphetamine,通称エクスタシー](ともに麻薬及び向精神薬取締法で届出義務あり),アンフェタミン[通称スピード]・メタンフェタミン[通称ヒロポン,シャブ](ともに覚醒剤取締法で届出義務なし)などがある.摂取経路は吸入・静注が主となるため,身体所見では注射痕・鼻中隔穿孔(コカインでは鼻からの嗅入が好まれる)をチェックする.
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