Editorial
医療の質を表す指標(quality indicator)
福井 次矢
1
1聖路加国際病院
pp.89
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100220
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現在,私が病院管理者として,また臨床研究者として最も興味を持って取り組んでいるのが「医療の質を表す指標(quality indicator)を定期的に明示するためのプロジェクト」である.このアイディアの発端は,病院を受診している高血圧患者のうち,最近測った血圧が140/90mmHg以下にコントロールされている人の割合を算出し,その結果を全職員に知らせたい,というものであった.
1990年代以降,先進国ではevidence-based medicine(EBM)の考え方が普及するにつれ,医療のさまざまなテーマについてエビデンスに基づいた推奨(勧告)が行われるようになり,いまや,次の段階の評価が求められつつある.つまり,エビデンスに基づいた推奨にどの程度準拠した医療が実際に行われているのか(診療プロセスの評価),あるいは,提供した医療の結果がどのように変わったのか(健康アウトカムの評価)ということである.米国では2003年から,そしてオーストラリアとニュージーランドでは1998年から,国家レベルでquality indicatorの報告がなされていて,聖路加国際病院でも病院レベルでquality indicatorを定期的に算出し,外国のデータあるいは他の病院のデータと比較したいと考えた次第である.
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