皮膚科医直伝Ⅱ 教科書では教えてくれないコツ[10]
教科書では教えてくれないコツ 靴源病 その1 鶏眼・胼胝の簡単な治療法と予防法
中村 健一
1
1おゆみの皮フ科医院
pp.793-795
発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100164
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「この靴はどの星で購入されましたか?」
「はっ?」
「これはとても地球人が履く靴ではありませんね.どう考えても宇宙人の履く靴ですよ」
「ははっ?」
「ほら,ファッション性を重視して,こんな窮屈な靴を履くから足がおかしくなるのです」
「はははっ?」
足の病変で受診した患者さんの靴を見る.よくもこんな靴をはいているなあ,と呆れてしまう.すると,患者さんが笑っているような,納得したような,不思議な笑い声で応対している.
鶏眼(ウオノメ)・胼胝(タコ)は毎度おなじみ,外来でよくある足のトラブルで,実に多い.日本人は古来,草鞋や草履,足袋,下駄で生活してきた.つい50年前まで,そのような生活だったが,急な西洋化であわてて靴なる代物を履くようになった.草履や足袋は足を包み込む構造なので,ある程度の寸法なら誰が履いても馴染む.しかし靴は異なる.硬い鎧で足を固定させようとする.一人ひとり個性のある足を一様のパターンに納めようとするものなのだ.当然,規格品に合わない足の持ち主は「足に合った靴」を履くのではなく,「足を靴に合わせ」てしまう.その結果,足のトラブルが激増する.靴の選択ミス,これがすべての誤りの始まりだ.
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