特集 ケーススタディ 不明熱
ケーススタディ
発熱+しびれ+尿潜血陽性の82歳女性
清田 雅智
1
1麻生飯塚病院総合診療科
キーワード:
検尿異常の確認
,
PR3-ANCA(c-ANCA)
,
MPO-ANCA(p-ANCA)
,
神経伝達速度測定
Keyword:
検尿異常の確認
,
PR3-ANCA(c-ANCA)
,
MPO-ANCA(p-ANCA)
,
神経伝達速度測定
pp.740-743
発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100153
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Case
患者:82歳,女性.
現病歴:1カ月続く39℃台のspike feverで当院に転院した.入院時までは前医にて10日間の抗生物質の点滴が行われるも,改善がなかった.診察上は,両下肢のしびれがあり歩行が困難であった.抗生物質の投与後なので判断が困難だが,感染症と考えると,胸部X線写真では間質性の陰影があるのみで,細菌性肺炎の経過とも異なった.尿の一般検査では潜血反応が陽性であったが,白血球がなく尿路感染は異なる.症状が乏しい細菌感染の中で,胆囊炎(無石胆囊炎)や腹腔内膿瘍,リンパ節腫脹を考えて腹部エコーを行ったが異常はなかった.非感染症の可能性も考えた.結合織疾患では血管炎,悪性腫瘍の線では悪性リンパ腫を考えていた.前者については,Chapel Hill分類を念頭に置いて,大血管について側頭動脈炎などを考え眼底検査を行い,小血管はMPO-ANCA,PR3-ANCAを出して結果を待った.1週間の経過観察ののち,MPO-ANCAが陽性,しびれは神経内科にて複合性単神経炎の所見と判明,間質性肺炎の所見もありmicroscopic poly-angiitis(顕微鏡的多発性血管炎)を確定診断した.治療は年齢を考慮してプレドニン20 mgから開始したところ発熱は翌日から消失し,2週間程度の経過で足のしびれも改善があり,自力歩行が可能になった.
診断:microscopic polyangiitis!!
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