- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Case
【Case 1】 子宮筋腫と子宮腺筋症を合併した例
患者:39歳,女性.
現病歴:4年前,他院で子宮筋腫を指摘されていたが,増大傾向があるとのことで紹介来院した.月経困難を訴える.内診上,子宮は新生児頭大で,TVSでは約8 cm大の子宮筋腫を疑った.MRIを施行し,前壁側筋層内に子宮筋腫を(図2,黒矢印),後壁側筋層には子宮腺筋症を診断した(図2,矢頭).すぐには治療を希望しないとの申し出から,しばらく経過観察を続けることになった.本例では前壁側の筋腫を核出しても,後壁側の子宮腺筋症が残存することから,症状の改善につながらない可能性があることがわかる.
【Case 2】 類皮囊胞の茎捻転例
患者:33歳,女性.
現病歴:3日前より右下腹部痛が続くため受診.右下腹部に圧痛があり,内診上右付属器は鵞卵大であった.TVSで約7 cm大の類皮〓胞を認めた.MRI上,腫瘤内に脂肪抑制法で信号低下をきたす脂肪成分を認め(図3,黒矢印),類皮囊胞と診断した.子宮(*)は腫瘤方向へ偏在し,腫瘤辺縁に捻転茎がみられ(図3,白矢印),捻転を示唆する.腫瘤内の脂肪は出血(T1強調像の淡い高信号)の混在のため,T1・T2強調像で典型的な高信号とならない.症状は安定しており,1週間後に摘出,類皮囊胞は360°捻転していた.茎捻転は必ずしも急性腹症として発症せず,画像も含め総合的に診断する必要がある.
【Case 3】 前立腺癌精囊浸潤例
患者:67歳,男性.
現病歴:排尿困難感があり受診.直腸診で前立腺左葉は石のように硬く,血清PSA 105.4 ng/mlと高値であった.前立腺癌を疑いTRUS下に8カ所生検を行い,すべての標本でGleason 4+3の腺癌を認めた.MRIでは,T2強調像で正常の辺縁域信号が消失し,全体に塊状の低信号腫瘍を認める.左葉の輪郭膨隆があり被膜外浸潤を(図5,矢印),精囊には低信号腫瘍の浸潤を認めた(図5,矢頭).CTで外腸骨リンパ節,傍大動脈リンパ節腫大を認め,骨シンチグラフィは陰性.ステージT3bN1M1aと診断し,ホルモン療法を行った.現在はPSA2.2と落ち着いている.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.