特集 MRIの使い方
肝胆膵MRI
黒住 昌弘
1
,
藤永 康成
1
,
角谷 眞澄
1
1信州大学医学部画像医学講座
キーワード:
組織コントラスト
,
T2強調像の信号強度
,
ダイナミックスタディ
,
MRCPのpitfall
Keyword:
組織コントラスト
,
T2強調像の信号強度
,
ダイナミックスタディ
,
MRCPのpitfall
pp.112-115
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100051
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Case
【Case1】 肝腫瘤精査の1例(図1)
患者:43歳,女性.
主訴:肝腫瘤.
現病歴:超音波検査による検診で多発肝腫瘤を指摘されるが,質的診断が困難であり,精査のためMRIを施行された.
所見:肝左葉内側区と右葉前上区との境界付近(S4/8)に約4cm大の結節性病変を認める.脂肪抑制併用下T2強調像(図1a)で病巣は著明な高信号を示す.脊柱管内の脳脊髄液と同等の信号強度であり,水々しい組織と考えられる.造影早期相(図1b)にて,病変の辺縁に強い染まり(peripheral enhancement)を認める.時間とともに染まりが腫瘍の中心へと広がる所見(filling in phenomenon)も確認できる(図1b~d).右葉後上区(S7)の病変(矢印)も染まりはゆっくりだが,同様の造影パターンを呈する.いずれも血管腫と診断され,経過観察となった.
【Case 2】 総胆管結石の1例(図2)
患者:82歳,男性.
主訴:黄疸.
現病歴:閉塞性黄疸を主訴に,近医より紹介された.超音波検査で肝内胆管や総胆管の拡張を認めたが結石は確認できず,MRIで精査となった.
所見:MRCP像(図2a, b)は,3Dでデータ収集し,MIP(maximum intensity projection)のアルゴリズムを利用してステレオ視可能に作成したものである.下部総胆管内に約12 mm大の嵌頓した結石が描出され,総胆管から肝内胆管にかけて拡張所見が認められる.十二指腸と膵頭部,胆管,胆囊管の関係がT2強調像(斜冠状断像)(図2c)にて容易に把握できる.内視鏡的乳頭括約筋切開術により,結石が除去された.
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