増刊号特集 泌尿器科 病棟管理マニュアル
Ⅱ.ベッドサイド検査の実際
勃起機能検査(NPT・血管造影)
永尾 光一
1
,
三浦 一陽
1
,
石井 延久
1
Koichi Nagao
1
,
Kazukiyo Miura
1
,
Nobuhisa Ishii
1
1東邦大学大森病院リプロダクションセンター
pp.90-94
発行日 2002年3月30日
Published Date 2002/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413904584
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1 はじめに
勃起障害(ED)は性機能障害で来院する患者の9割を占め最も多い疾患で,「性交時に十分な勃起が得られないため,あるいは十分な勃起が維持できないため満足な性交が行えない状態」と定義されている。つまり,マスターベーションや別の女性と性交ができても妻やパートナーとできない状態も勃起障害と診断される。EDの程度は,完全型(常にできない),中等症(しばしばできない),軽症(たまにできない)に分けられ1998年の統計では完全型と中等症の合計が980万例であり軽症を含めるとそれ以上となる1)。また,2000年の一般市民意識調査では,既婚男性の30%がEDを自覚していると報告している。EDは機能性と器質性に分類され,機能性EDは,勃起機能は正常だが心理的要因によって勃起または勃起の維持が不十分な場合である。要因は仕事や家庭のストレス,不妊治療などで一度失敗したことで次回から失敗不安がつづき悪循環となる。診断は器質的なものを除外する。器質性EDは血管性,神経性,内分泌性,陰茎性などがあり,リスクファクターには心疾患,糖尿病,高血圧,高脂血症,神経障害(脊髄損傷,骨盤内手術後),喫煙,過度のアルコール,ストレス,薬剤などがあり最近では自転車のサドルによる長時間の陰部の圧迫が問題とされている。陰茎性には先天性陰茎彎曲症や陰茎硬化症(ペロニー病)などがある。その他に薬剤性などがあり,心理的なものやそれぞれの身体的問題が重複する場合も多い。
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