増刊号特集 泌尿器科 病棟管理マニュアル
Ⅰ.泌尿器科病棟管理の基本
泌尿器科診療とクリニカルパス
野島 道生
1
,
島 博基
1
Michio Nojima
1
,
Hiroki Shima
1
1兵庫医科大学泌尿器科
pp.15-20
発行日 2002年3月30日
Published Date 2002/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413904569
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1 クリニカルパスとは
クリニカルパスはもともと1985年に米国ニューイングランド医療センターの看護婦Karen Zanderが,医師が行う医療行為の全体像をコメデイカルスタッフが理解し,効率よく医療行為に従事することを目指し考案した。その背景には米国では1983年にメディケア・メディケイドが高騰する医療費を抑制するためにDRG(診断群別疾病分類)の概念を導入したことがクリニカルパスの開発の契機となっている。1986年にはDRG/PPS(Diagnostic Related Groups/Prospective Payment System:診療行為別予見定額支払い方式)が導入され,クリニカルパスは主に医療費抑制の理由から広く普及した。DRG/PPSでは保険機構の医療機関に対する診療報酬の支払いが定額払いであるため,医療機関は経営上の理由から医師が行う検査を必要不可欠の項目に絞り込み,薬剤や診療材料のコスト低減と入院期間の可能な限りの短縮を目指した。このため診療過程の統一化が必要となりクリニカルパスの手法が必要不可欠となった。わが国においても医療費削減を目的としたDRG/PPSの導入が間近となり,泌尿器科診療に携わる我々もこのような医療制度改革の流れに対応して診療の合理化に取り組む必要に迫られているのが現状である。
当初の名称であるクリティカルパスとは本来は製造業の工程管理の手法であり,基本的なパス概念は生産工程の作業の円滑化と効率化を通して生産性の向上を目指す手段である。
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