画像診断
腫瘍性病変と鑑別困難であった限局性腎萎縮(Ask-Upmark Kidney)症例
橘 政昭
1
,
田崎 寛
1
,
小西 孝之助
2
,
猿田 享男
2
1慶應義塾大学医学部泌尿器科学教室
2慶應義塾大学医学部内科学教室
キーワード:
腎奇形
Keyword:
腎奇形
pp.255-258
発行日 1991年3月20日
Published Date 1991/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413904361
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
各種画像診断上腎の腫瘍性病変として腎部分切除術を施行し,病理組織学的に限局性腎萎縮(Ask-Upmark Kidney)に合致する所見が得られた成人症例につき呈示する.症例は57歳女性であり,初診時,高血圧および顕微鏡的血尿ならびに蛋白尿を呈していた.IVP,超音波画像,CTスキャン,MRIにおいて左腎上極の腫瘤性病変が認められ腎細胞癌が疑われたが,血管造影においてはgranulomaとの鑑別が困難であった.経皮的吸引針生検を施行したところ線維性結合織および硝子様物質のみで悪性細胞は認めなかった.画像診断上,悪性腫瘍を鑑別し得ないため,左腎上極部分切除術を施行した.術中迅速病理検査においてthyroid-like appea—ranceを呈する腎の萎縮であり悪性所見を認めなかったため,健常腎部は温存した.術後の左腎機能は良好であり,血圧の正常化,顕微鏡的血尿および蛋白尿の消失が認められている.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.