小さな工夫
腎移植における術中の温阻血障害予防のための工夫
王 立明
1
,
田邉 信明
1
1山梨医科大学泌尿器科
pp.582
発行日 2001年6月20日
Published Date 2001/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903299
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腎移植の際の虚血再灌流障害は急性尿細管壊死(ATN),さらには急性および慢性拒絶反応にもかかわりがあり,移植腎機能に大きな影響を与える。虚血再灌流障害はドナー因子,冷保存時間,再灌流障害など多くの因子が関係している。このうちsecond warm ischemic injuryは,血管吻合時間が35分以上の場合,ATNの誘因として重要であると考えられている1)。このためATNを予防するには,腎移植手術中に移植腎の実質温度を16℃以下に保つことが必要であるとされている2)。われわれは手術中に氷入りコンドームを使うことで,second warm ischemic injuryの予防をしている。
操作の概要は以下のとおりである。まず,3個のコンドーム,1枚のガーゼおよびクラッシュアイスを用意する(図1)。コンドームのなかに半分くらいクラッシュアイスを入れ,空気を除去して口を閉める。ガーゼの中心に直径1.5cmの穴を開ける。移植腎をガーゼのなかに置き,腎動静脈の断端を穴から外に出す。3個の氷入りコンドームを腎周囲に置き,これらをガーゼで包み込み,鉗子で挟む。助手が鉗子を保持し,移植腎の位置を調節しながら血管吻合を行う(図2)。血管吻合が終了したら鉗子を外し,ガーゼを剪刀で切り離す。
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