増刊号特集 泌尿器科手術における合併症管理のすべて
Ⅲ.術中合併症とその対処
腸管損傷
西岡 伯
1
,
秋山 隆弘
1
Tsukasa Nishioka
1
1近畿大学医学部堺病院泌尿器科
pp.240-244
発行日 2001年3月30日
Published Date 2001/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903223
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1 はじめに
腹膜外臓器である尿路生殖器を取り扱う泌尿器科手術において,隣接臓器である腸管を損傷してしまうことがある。一般的な泌尿器科手術のなかで腸管損傷をきたす危険性のある術式1〜3)を表1に示し,この詳細は後述する。術中合併症としての腸管損傷は比較的稀ではあるが,万が一損傷してしまうと適切な処置と術後管理が行われなければ,腹膜炎やイレウスなどの重篤な合併症を引き起こし,致命的となることさえある。したがって,この術中合併症に対する術前からの予防はもとより,術中に細心の注意を怠らないことや,損傷時の適切な処置の習熟は,泌尿器科医にとって必須の事柄である。
本稿では,この腸管損傷の対策として,術前のチェックポイントから術中の注意事項とその処置に至るまでを筆者らの経験をもとに解説したい。
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