特集 大腸外科手術におけるトラブルシューティング
Ⅱ.腸管・他臓器損傷 1)腹腔鏡下大腸癌手術における腸管損傷の予防と対処法
平塚 孝宏
1
,
猪股 雅史
1
1大分大学医学部消化器・小児外科学講座
キーワード:
腸管損傷
,
腹腔鏡下大腸切除
,
エネルギーデバイス
Keyword:
腸管損傷
,
腹腔鏡下大腸切除
,
エネルギーデバイス
pp.1145-1151
発行日 2020年7月15日
Published Date 2020/7/15
DOI https://doi.org/10.18888/op.0000001780
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日本内視鏡外科学会の内視鏡外科手術に関するアンケート調査によると,腹腔鏡手術における腸管損傷の発生頻度は,2017年度の報告において,小腸,大腸疾患に対する内視鏡外科手術4万1,920例中53例(0.1%)という結果であった。一方,2008年度の報告では,小腸,大腸疾患に対する内視鏡外科手術1万6,484例中38例(2.3%)であったことから,内視鏡外科手術総数は増加しているものの,腸管損傷に関しては減少傾向にあり,2017年度の報告では,偶発症・合併症総数に占める腸管損傷の割合も1.6%(53 / 3,380例)とそれほど多くないように思われる1)。しかしながら,偶発症・合併症のうち腹腔内膿瘍や腹膜炎は976例(2.3%)あり,これらの原因のなかに術中に気付かれなかった腸管損傷が含まれている可能性がある。それゆえ腸管損傷の予防法ならびに対処法に関する知識と技術を備えておくことは,腸管を扱う外科医にとって依然として重要である。
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