増刊号特集 泌尿器科手術における合併症管理のすべて
Ⅰ.術前ハイリスク症例の管理
神経系疾患—脳血管障害を中心に
池田 幸穂
1
,
松本 清
1
Yukio Ikeda
1
1昭和大学医学部脳神経外科
pp.11-13
発行日 2001年3月30日
Published Date 2001/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903173
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1 はじめに
脳血管障害は,悪性新生物についで死因の重要な位置を占めている。日本では,高齢化社会になり脳血管障害を併存する泌尿器科患者の手術機会はますます増加していると考えられる。
脳血管障害は,大別して高血圧性脳出血,くも膜下出血,血管奇形,モヤモヤ病などの出血性疾患と,脳梗塞,一過性脳虚血発作,高血圧性脳症などの閉塞性疾患に分類される。脳血管奇形を除き,多くは加齢によって生じるものであるが,背景に高血圧,糖尿病,高脂血症,心疾患,腎機能障害などの基礎疾患やリスクファクターを併存していることが多い(表1)。さらに,麻痺,嚥下障害,痴呆の合併など脳血管障害患者に特徴的な病態の存在がある。
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