増刊号特集 泌尿器科外来診療—私はこうしている
Ⅹ.メディカルエッセイ
医学教育と外来診療と
冨田 善彦
1
1新潟大学医学部泌尿器科
pp.252
発行日 2000年3月30日
Published Date 2000/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902934
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先だって当大学の医学部主催の1泊2日の医学教育ワークショップに参加いたしました。昨今の医学教育に関する変動ぶりには驚きの連続でしたが,その中で平成13年の医師国家試験にも取り入れる方向で検討されている客観的臨床能力試験(objective structured clinical examination:OSCE)の実習がありました。OSCEは,1975年にHardenらによってBritish Medical Journalに初めて紹介され,画期的医学教育法として現在約30か国で医学教育に採用されており,カナダのケベック州では家庭医の專門医試験に取り入れられているものです。大まかにいえば患者さんへの問診,理学的所見の採取,模型などを使った治療手技(創の縫合など)といった各々の能力を検討するブースが設けられており,この各ブースをローテートする方式で試験するというものです。
小生の参加したワークショップでは,OSCEの中で標準模擬患者(standardized patients:SP)からの病歴の採取という設定がありました。このSPとは,ある条件を設定するとそれに沿った患者を演じる人のことで,例えば,40歳女性,専業主婦で腹痛ありといった設定において,医師がどのような質問をしたらどのように答えるかを全て標準化して,再現性を持って答えられるスペシャリストです。
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