増刊号特集 泌尿器科外来診療—私はこうしている
Ⅹ.メディカルエッセイ
ムンテラとインフォームドコンセント
頴川 晋
1
1北里大学医学部泌尿器科
pp.268
発行日 2000年3月30日
Published Date 2000/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902937
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私たちは「ムンテラ」という言葉をよく使う。「Mundtherapie(Mund,口+Therapie,治療)」は独語のようにも思えるので,ベルリンに住む友人に問い合わせてみた。すると彼の地では「Gespraechstherapie」という言葉を用いるのだそうで,「ムンテラ」は完全な造語とのことである。言い得て妙,面白い言葉である。もっとも最近では,「インフォームドコンセント」という用語に押され気味で,分が悪い。しかし,私たちは本当に両者の違いを理解しているのだろうか。
今を去ること10年前,私は米国南部の片田舎に住んでいた。米国滞在2年目ともなれば多少は心にゆとりができる。余暇を利用して小旅行することになった。この町の巨大な空港駐車場に車を止め,戻ってみると車がない。さては場所を間違えたかと思い,探し回るが見つからない。まさかと思って確認したところ,出庫記録がある。結局,北に伸びる高速道路の路肩に乗り捨てられていたのだが,中身は完全になくなっていた。ラジオ,カセットデッキはもとより,7人がけの座席すべてがなかった。当時の私の愛車は,清水の舞台から飛び降りたつもりで購入した名車シボレーアストロバンLT,れっきとした大出力正統派,ワンボックスのアメ車である。日本に持ち帰ろうと毎日のように磨きまくっていたので気落ちした。
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