増刊号特集 泌尿器科画像診断
Ⅲ.疾患別画像診断
4.先天異常
(2)尿管
尿管異所開口
大島 一寛
1
,
松岡 弘文
1
,
田丸 俊三
1
,
中原 王寿
1
Kazuhiro Oshima
1
1福岡大学医学部泌尿器科
pp.244-247
発行日 1999年3月30日
Published Date 1999/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902598
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1 はじめに
尿管異所(膀胱外)開口は,尿管が中腎管(Wolff管/精管・精嚢腺の発生原基)より発生することに原因がある。尿管芽より遠位の中腎管は尿生殖洞に吸収され,尿管は中腎管を離れて尿生殖洞に交通し,やがて上方(膀胱)へ移動して正常の位置に開口する。もし尿管芽が中腎管の近位に遠くはずれて発生すると,発生学的タイミングが遅れて膀胱の定位置への移動が不完全,あるいは中腎管と遊離されないままになり,後部尿道(55%),Wolff管由来の精管系(45%)へ開口することになる。女子のWolff管は退化する運命にあるが,Gartner管(痕跡的)としてMuller管由来臓器と接して走行しており,何らかの原因によってこれと交通が生じると推定されている(尿道35%,腟前庭35%,腟・子宮30%)(図1)。稀には直腸に開口することも知られている。女子での頻度発生が高く(男子の5〜6倍),80%は完全重複尿管を合併する。一方,男子では単一尿管にみられることが多い。病変が片側か両側か,尿管が単一か重複かで分類され,本邦ではⅠ型,Ⅲ型が多いとされている(図1)。男女とも尿路感染(急性腎盂腎炎),上部尿路の拡張が診断の契機になることが多いが,女児ではオムツが取れた後の持続的な尿管性尿失禁が特徴的で,診断の契機になることがある。外尿道括約筋より近位に開口する男子では尿失禁はなく,後部尿道炎,前立腺・精嚢腺炎症状を呈する。
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