医学と看護
腎盂腎炎
赤松 孝之
1
,
吉田 政彦
2
1順天堂大学医学部内科
2順天堂大学院
pp.48-52
発行日 1968年6月1日
Published Date 1968/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917485
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
腎盂腎炎は急性症と慢性症とに大別されるが,看護上特に問題になるのは何ら予告なしに悪感,戦慄を伴なって高熱を発する急性症であり,われわれがしばしば遭遇する疾患である。このほとんどは一つの原疾患の合併症として現れるものであり,予後は良好であるが,高熱に対する患者の不安と苦痛は相当なものであろう。しかも予後不良ないしは重大な後遺症を残す敗血症との鑑別がまず必要であり,また急性腎盂腎炎から敗血症への移行は重篤な結果をもたらすので,発症初期においては迅速な検査と的確な治療が必要とされる。しかしながら原疾患を十分に把握するならば,診断はそれ程困難ではないし,予防処置を行なうことができる。
近年高血圧をきたす疾患群の中で静脈性腎盂撮影,逆行性腎盂撮影,尿培養,腎生検法ならびに腎組織片による螢光染色法の普及により,慢性腎孟腎炎の占める率が意外に多いとされているが,多くは慢性腎不全による尿毒症に移行し,死の転帰をとるので,この点についても述べたいと思う。
Copyright © 1968, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.