増刊号特集 泌尿器科画像診断
Ⅲ.疾患別画像診断
1.腫瘍
(1)腎腫瘍
腎オンコサイトーマ
岡田 崇
1
,
荒井 陽一
1
Takashi Okada
1
1倉敷中央病院泌尿器科
pp.147-150
発行日 1999年3月30日
Published Date 1999/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902572
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1 はじめに
本症は60〜70歳代の男性に多く(男女比2:1),腎腫瘍全体の3〜5%を占める。ほとんどが無症候性でUSやCTで偶然発見されることが多く,肉眼的血尿,腹痛,側腹部腫瘤,顕微鏡的血尿などの症状は稀である。6%の症例では両側性にみられ,さらに多発性のものには家族性のものが含まれる。200以上の小さな腎オンコサイトーマが両側性にみられた症例も報告されている(オンコサイトーマトーシス)。
大きさは径1cm以下から巨大なものまで様々である。肉眼的には濃褐色(mahogany color)の充実性腫瘍で,発達した被膜を有しており,多くの腎細胞癌の外観が黄橙色であるのと対照的である。大きい腫瘍では中心壊死を呈し,嚢胞状の部分がみられることや,出血や石灰化を伴うこともある。組織学的には充実性の構造で時に腺腔形成を認め,間質には線維性結合組織がみられる。細胞異型,分裂像はなく,小型円形の均一な核と好酸性,顆粒状の大きな胞体とをもつ細胞から成る。この細胞は集合管の介在細胞由来といわれている。電子顕微鏡では細胞質に豊富な大型のミトコンドリアを認める。腫瘍細胞の染色体異常として第1染色体(または第1染色体短腕)の欠失あるいはY染色体の欠失のほか,現在までに多くの知見が得られている。
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