増刊号特集 膀胱全摘除術と尿路変向術のすべて
Ⅵ 術後管理と合併症対策
1.術後管理
回復期の管理
中川 昌之
1
Masayuki Nakagawa
1
1大分医科大学泌尿器科
pp.247-251
発行日 1998年3月30日
Published Date 1998/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902296
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はじめに
膀胱全摘除術および尿路変向術はその手術方法によっても手術時間は異なるが,いずれの場合もかなりの時間を要し,患者への手術侵襲は大きい。したがって,術後管理をいかに適切に行うかが手術結果に大きな影響を与える。術後管理の要点を一言で表現するなら,手術後に起こりうる合併症の発生を抑え,術創治癒を促すことであろう。しかし,同じ手術を行っても相手の患者の身体的,病的条件は個々に異なっており,このことが術後管理を複雑にしている。
手術後の回復期にはまだ,患者の身体にいくつかのドレーン,カテーテルや点滴などがつながれており,患者はきわめて受動的な状況におかれている。したがって,極端にいえば,管理する医師の裁量で医原性の合併症をも起こしうるし,患者の回復を効率良く促すこともできる。なるべく早期に患者が介助なしに歩行し,食事が摂れるような能動的状況へ移行させることができれば,術後合併症の危険率は著しく低下し,術創治癒も進むであろう。
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