増刊号特集 泌尿器科 病棟管理マニュアル
Ⅲ.ベッドサイド処置の実際
尿管ステント逆行性留置・抜去方法
八木 静男
1
,
中川 昌之
1
Shizuo Yagi
1
,
Masayuki Nakagawa
1
1鹿児島大学医学部泌尿器科
pp.117-123
発行日 2002年3月30日
Published Date 2002/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413904589
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1 はじめに
泌尿器科疾患あるいは周辺臓器の病変によって上部尿路の閉塞をきたした場合には,一次的あるいは永久的に尿路のドレナージが必要となる。尿管ステントは尿流を確保する目的で腎盂と膀胱の間に留置されるもので,19世紀から既に使用されていた。上部尿路における尿流障害に対する対処法として,経皮的腎造瘻術(PNS)と並んで選択される治療法であるが,migration(ステントの位置異常)やencrustation(尿中の結晶成分や有機物が付着すること)などによりドレナージ不良を起こすなどの問題点があった。
1970年代後半頃からdouble Jタイプのステントが開発され,位置異常の防止に関しては大きな進歩がみられた。しかし,依然として留置後一定期間が過ぎると内腔の閉塞やステント周囲のencrustationにより尿流障害が起こり,腎盂腎炎を起こすケースも稀ではなく,メーカー表示の耐用期間(6〜12か月)を問題なく経過するケースは少ない。われわれは通常2〜3か月ごとに交換を行っているが,1か月ごとの交換が必要なケースもしばしば経験する。また,適正な位置に留置されたとしても原因病態によってはドレナージ不良のために結局PNSが必要になるケースも存在する。
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