メディカルエッセイ
膀胱全摘除術と私
垣添 忠生
1
1国立がんセンター中央病院
pp.186
発行日 1998年3月30日
Published Date 1998/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902287
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1997年9月7日からモントリオールで国際泌尿器科学会(SIU)が開催された。私は病院長としての管理業務の多忙さから,最近こうした海外の学会になかなか出席できないのだが,今回は出席できたし,途中で呼び戻される事態も発生せず幸福だった。
9月8日,初日の朝のセッションでSIU・Yamanouchi AwardがNils Kock博士に授与された。Kockのneobladderの開発者である。1982年に"J Urol"に12例の報告が出されて以来,尿路変向術に爆発的な影響を与え,世界中で次々と新しい術式が工夫され,尿路変向術は活気に満ちた新しい時代を迎えることとなった。誠に当を得た本賞の選考だったと思う。Kock博士は長身だがかなりの高齢で,ゆっくりとした口調で受賞講演を開始された。1911年のCoffeeによるureterosigmoidostomy,1954年のBrickerによるileal conduit開発に次ぐ,尿路変向術の第三世代に相当する術式の開発であることが自然と頭に入ってくる。
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