増刊号特集 術者からみた局所解剖
Ⅰ 上部尿路・副腎系の局所解剖
3.腎盂・尿管
尿管手術
大西 哲郎
1
Tetsuro Onishi
1
1東京慈恵会医科大学附属青戸病院泌尿器科
pp.66-70
発行日 1997年4月30日
Published Date 1997/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902033
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
尿管の区分
尿管は,腎盂と膀胱をつなぐ粘膜(移行上皮),筋層(縦走筋,輪状筋,螺旋状筋),線維膜の三層構築からなる。径が7〜8mmの管腔性臓器で,長さは30cm前後である。原則的には尿管は1対であるが,重複尿管も存在し,その際は完全型(2本の尿管がそれぞれ膀胱に開口する)と,不完全型(2本の尿管が膀胱に到達する以前に癒合する)がある。腎の位置関係から,左尿管は右尿管に比較して約1〜1.5cm長く,腎盂尿管移行部,尿管が腸骨動静脈をまたがる部位および尿管膀胱移行部の3か所が生理的に狭い。また尿管は,その前後を同側の精索(卵巣)動静脈を伴走する形で腎筋膜に連続する筋膜(結合組織膜)に包まれて後腹膜腔を下降し,骨盤腔へ達する。尿管を構成している筋肉は尿の輸送に関与しているが,尿管の蠕動のペースメーカーは,腎盂下部にあるといわれており,さらに尿管部にも要所要所にペースメーカーが存在し,これによって尿は連続的ではなく塊(bolus)となって尿管中を下降する。
Copyright © 1997, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.