増刊号特集 術者からみた局所解剖
Ⅰ 上部尿路・副腎系の局所解剖
3.腎盂・尿管
腎盂形成術
谷風 三郎
1
Saburou Tanikaze
1
1兵庫県立こども病院泌尿器科
pp.62-65
発行日 1997年4月30日
Published Date 1997/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902032
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腎盂形成術は腎盂尿管移行部狭窄を原因として生じる水腎症に対して行われる手術で,小児では比較的頻度が高い。種々の形成法が報告されてきたが,余剰腎盂を切除して適正なサイズに形成した腎盂と狭窄部を切除した尿管とを漏斗状になるように再吻合するAnderson-Hylnes法が主として用いられてきた。しかし,腎盂の拡張は二次的なもので,小児では狭窄が解消すれば自然に縮小することから,あえて余剰腎盂を切除しないで狭窄部のみ切除し,そのままで腎盂と尿管を再吻合するdismembered pyeloureterostomyが一般的に選択される1)。これは手術の対象が腎盂尿管移行部周囲に限られるので皮膚切開も小さく,最小限の剥離で操作が可能なため手術時間も短く,手術侵襲が少ないことが小児では大きな利点となる。また手術操作に工夫を加えることで手術成績も著しく向上している。本稿では局所解剖を参考にしながら手術操作の進行を述べる。
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