交見室
癌告知「患者は知りたがっている」追加
荒木 徹
1
1あらき腎・泌尿器科クリニック
pp.721
発行日 1996年8月20日
Published Date 1996/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901890
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臨床50巻4号,三浦 猛先生の「患者は知りたがっている」に大いに共感しました。同1号井坂・鳶巣・三浦先生の座談会,同5号三品輝男先生の御意見,癌告知について何れも勉強になりました。私は10数年来癌も患者に告げてきましたが,先生方が触れられなかった一点を追加したいと思います。
それは情報開示と自己責任の原則です。自分の病気と治療の内容・予後を知り,どの治療を選ぶかは患者の当然の権利であり,患者はそれを求めて受診しています。わが国では徳川家康の家訓「民はよらしむべし知らしむべからず」が現在も社会を根強く支配しています。昨今次々に暴き出される官庁の体たらくの根底にはこの思想に根ざした役人達のオゴリがあります。彼らの情報隠しにイラつくのは私だけではないでしょう。民もまた彼らに依りかかり,その言うなりに従ってきたことが彼らのオゴリを助長したことは確かです。
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