手術手技 基本的な手術・19
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守殿 貞夫
1
,
荒川 創一
1
,
原 勲
1
1神戸大学医学部泌尿器科学教室
pp.944-945
発行日 1995年11月20日
Published Date 1995/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901631
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- 文献概要
膀胱癌の所属リンパ節は,本来大動脈分岐部までであり,したがって総腸骨リンパ節も郭清の範囲に含まれているが,Modified法では内外腸骨動脈の分岐部までとされている。本疾患のリンパ節転移の頻度は,閉鎖節,外腸骨節の順に高いことが知られており,著者らはそれに習い,通常上縁に関してはModified法の範囲で行っている。すなわち,前立腺癌の通常の郭清範囲と同一である。ただし,総腸骨節に異常なリンパ節を触知するような場合は上方に郭清範囲を広げている。
膀胱癌の場合,その後の膀胱全摘術および尿路変向術に時間を要するため,リンパ節郭清の時間は必要最小限にとどめるべきであり,超音波メス(CUSA®)の使用はその一助となる。特に,閉鎖神経周辺の脂肪組織の切除に適している。この部および内腸骨動脈周囲さらに閉鎖神経が大腰筋に沿って総腸骨血管の裏面を上走していく帯状の領域(図中A領域)をCUSAを用い,脂肪を吸引しつつ露出してくるリンパ節を先端の丸い腫瘍鑷子でつまんで摘除していく。ほとんど出血を来さず小血管も温存できる。
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