交見室
柴胡剤による膀胱炎について
徳中 莊平
1
1新宿石川病院
pp.711
発行日 1995年8月20日
Published Date 1995/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901583
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最近,本誌でも,48巻11号の渡辺竜助先生他の「漢方製剤小柴胡湯による好酸球性膀胱炎」,本誌49巻5号の川下英三先生他の「柴苓湯が原因と思われる無菌性膀胱炎」など柴胡剤による膀胱炎の報告を散見します。前者は,慢性肝炎の47歳,女性,後者は,中耳炎の6歳,女児で各々2年間と1年間の投与を受けています。また,医薬品副作用情報でも,柴朴湯,柴苓湯,小柴胡湯柴胡桂枝湯によると思われる膀胱炎症状,8例についての紹介がされています。この8例中,1例のみが,6か月投与で,残りはすべて1年以上投与されています。はっきりとした原因は不明とされているようですが,トラニラストなどと同様な,明らかなアレルギー反応であることは間違いなく,柴胡剤を長期投与されている患者では十分留意しなければならないと思われます。
私にとって柴胡剤とくに小柴胡湯は,少しこじれたかぜの特効薬として重宝しており,しばしば処方して患者にすばらしくよく効く風邪薬だと喜ばれています。
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